daily essay ~ 夏の日のみどり

真夏の太陽がぎらぎらと
照りつけるアスファルトの上で、

どこか遠い世界の話だと思っていた
「カマキリを飼う」という息子の言葉に、私は一瞬固まった。

小六になった彼は、私とは正反対の生き物好き。

特に虫全般が苦手な私にとっては、
カマキリはまさに“天敵”に近い存在だ。
正直なところ、できれば避けたい事だった。

息子はといえば、私の複雑な心境など露知らず、
瞳を輝かせながらスマートフォンの画面に釘付けになっていた。

カマキリ 飼い方」「カマキリ 餌」と次々に検索し、熱心に動画を視聴する。

彼の手元には、
先日買ってきたばかりの真新しい虫かご。

まだカマキリの“カ”の字もないのに、
百均で買ってきた編みシートを足場用に配置し、
自分なりの「カマキリハウス」を熱心に作り上げている。

この暑い暑い中に、
「カマキリを捕まえに行きたい!」という息子。

まずは自分で見てくると変に真面目な彼は、
学区内の公園エリアへと向かった。

夕方とはいえ、
じりじりと日が暮れていく中、1時間ほど戻ってこない。

様子を見に行こうかと思った頃、扉が開いた。

「いたんだよ!第二幼虫、2センチくらい!」
と興奮気味に報告しに戻ってきた。

私が虫が苦手なことを知っている息子は、
一緒に来てほしいとはなかなか言えない。

頼みの綱の主人は、まさかの爆睡中だった。

心の中は複雑だったけれど、彼の真剣な眼差しを見ると無下にもできない私がいる。

「一緒に行ってくれないかな……」
彼の声が聞こえるようで、私の心は揺れた。

公園の葉っぱは切っちゃダメだよね?」とか
カマキリがどこか行っちゃうかも」とか、

戸惑う彼の姿に私はついに重い腰を上げた。

見つけた場所にはもういないかもしれないけれど、
一緒に行ってみるか。

私は黒いアームカバーだけを身につけて、
彼の後を追った。

息子の指差す先を凝視すると、確かにいた。
1匹の小さな赤ちゃんカマキリが葉の先でお尻上げている。

体長わずか2センチほどだろうか。
そのつぶらな瞳が不思議と可愛くみえた。

「ねえ、今までどうやって捕まえようとしてたの?」

素朴な疑問をぶつけると、
彼の口から飛び出したのは私の想像を遥かに超えていた。

「この黒いの(板)持って、(カマキリに)『こっちだよ、こっちだよ』って、声かけてた。」

私は思わず、え?!「嘘でしょ?1時間もお声かけ!?」

・・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・・

な、る、ほ、ど...
母の直感はきっと当たっている。

謎が解けた。

大人の世界では成り立たないようなことも、
子どもの世界では成り立つから面白い。

息子はカマキリは好きでも、
まだ触れないのだ。

2センチの小さな赤ちゃんカマキリを、
触れない息子と私。

意を決して
黒いアームカバーを手にズラし、私がそっと手を差し伸べた瞬間⁉︎

えっ?「こんにちは?」
私の腕にちょこんとみどりの物体が乗ってきた。

いつもなら「やめてーーーっ!」と絶叫し、
飛びのいていただろうが、今日は違った。

自分でもよくわからないまま、
無事にどうにかカマキリを確保していた。

「ありがとうーーー!ありがとうーーー!!」(涙目)
心からの感謝を伝える息子の満面の笑みに
思わず私も笑ってしまった。

(この続きもまた、書きたいと思う。)

__________________

子どもから学ぶことは、いつも想像の上をいく。
そして奥深いのだ。

彼らの純粋な「好き」の形は、
時に私たち大人の凝り固まった価値観を揺さぶりと、
新たな扉を開いてくれる。

「40代をどう生きる?50代をどう生きたい?」
女性はライフスタイル・ライスステージの変化が激しい生きもの
日常の中にある”極上”を大切にすることを忘れないように。
ちょっぴり元気がでるメッセージを送ります。
aki
※Instagram:https://www.instagram.com/acocochi/

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